冒頭の直接回答
マインクラフトのTPS(Ticks Per Second)最適化は、サーバーの処理負荷を軽減してゲームを快適にする技術です。TPSは本来20が標準値で、これを下回るとラグやブロック破壊遅延が発生します。最適化には「不要なチャンクのアンロード」「エンティティの削減」「プラグイン・MODの見直し」「サーバー設定の調整」が必要で、適切な対策により重いサーバーでも快適なプレイ環境を実現できます。
要点
- TPSは1秒間に実行されるゲーム内処理のサイクル数で、20TPS(50ms/tick)が標準値
- TPS低下の主な原因はエンティティ過多・チャンクロード過多・レッドストーン回路・プラグイン競合
- Paper/Purpur等の最適化サーバーソフトウェアへの切り替えで大幅な改善が可能
- server.propertiesとbukkit.ymlの設定調整で負荷を30〜50%削減できる
- 定期的なTPS監視とボトルネック特定が継続的なパフォーマンス維持の鍵

マインクラフトのTPSとは何か:基礎知識と重要性
TPSの定義と標準値
TPS(Ticks Per Second)は、マインクラフトサーバーが1秒間に実行するゲームループの回数を示す指標です。マインクラフトは20TPSで動作するよう設計されており、1tick=50ミリ秒で動作します。この20TPSが維持されていれば、プレイヤーの動き、モブのAI、レッドストーン回路、農作物の成長など、すべてのゲーム内処理が正常に機能します。
TPSが20を下回ると、ゲーム内の時間進行が遅くなり、プレイヤーは様々な不具合を体験します。例えば、ブロックを破壊してもすぐに消えない、攻撃の反応が遅れる、モブの動きがカクカクする、などの現象が発生します。TPSが15以下になると明確なラグとして認識され、10以下では実質的にプレイが困難になります。
TPSとFPSの違い
多くのプレイヤーがTPSとFPS(Frames Per Second)を混同しますが、これらは全く異なる指標です。FPSはクライアント側(各プレイヤーのPC)での画面描画速度を示し、グラフィックカードやCPUの性能に依存します。一方、TPSはサーバー側のゲームロジック処理速度を示し、サーバーのCPU性能とプログラムの効率性に依存します。
FPSが低くてもTPSが20であればゲームロジックは正常に動作しており、グラフィック設定を下げるなどクライアント側の対策で改善できます。しかし、TPSが低い場合はサーバー全体の問題であり、接続しているすべてのプレイヤーに影響します。そのため、マルチプレイサーバーの運営ではTPS維持が最優先課題となります。
TPS低下がゲームプレイに与える影響
TPSが低下すると、ゲーム体験全体が損なわれます。具体的な影響として、ブロック破壊の遅延(破壊したブロックが復活する現象)、モブのワープ現象(位置情報の更新遅延)、レッドストーン回路の誤動作、アイテムのドロップ遅延、チャット送信の遅延などが発生します。
特に大規模な建築プロジェクトや自動化システムを構築しているサーバーでは、TPS低下は致命的です。例えば、農場の自動収穫システムが正常に動作しなくなったり、トラップタワーの効率が大幅に低下したりします。また、PvP(対人戦)環境では、TPS低下により公平な戦闘が不可能になり、サーバーの評判を大きく損ねる原因となります。
TPS低下の主な原因:ボトルネックの特定方法
エンティティ過多による負荷
マインクラフトにおけるエンティティとは、モブ(動物や敵対Mob)、ドロップアイテム、乗り物、経験値オーブ、矢などの発射物など、動的に存在するすべてのオブジェクトを指します。これらのエンティティは毎tick処理が必要で、数が増えるほどサーバー負荷が増大します。
特に問題となるのは、プレイヤーが放置したドロップアイテム、過剰に繁殖した動物、トラップタワーで溜まったモブなどです。1つのチャンクに100体以上のエンティティが存在すると、そのチャンクの処理だけで数ミリ秒を消費し、TPS低下の直接原因となります。エンティティ数は/forge entity listコマンド(Forge環境)や各種プラグインで確認できます。
チャンクロードと描画範囲の問題
マインクラフトの世界はチャンク(16×16×高さのブロック群)単位で管理されています。プレイヤーの周囲の一定範囲のチャンクは常時読み込まれ(ロードされ)、処理が実行されます。server.propertiesのview-distance設定が大きいほど、多くのチャンクが同時にロードされ、サーバー負荷が増大します。
デフォルトの描画距離10チャンク(直径約320ブロック)は中規模サーバーでは過大で、プレイヤー数が増えると急速にTPS低下を引き起こします。また、複数のプレイヤーが離れた場所にいる場合、それぞれの周囲のチャンクがロードされるため、負荷は人数に比例して増加します。/forge tpsや/timingsコマンドでチャンク処理のボトルネックを特定できます。
レッドストーン回路と自動化装置
レッドストーン回路は非常に便利ですが、複雑な回路や大規模な自動化装置はサーバーに大きな負荷をかけます。特にクロック回路(常時信号を送り続ける回路)は毎tick処理が必要で、1つのクロック回路が1tick処理に0.5〜1ミリ秒を消費することもあります。
ホッパー、ドロッパー、ディスペンサーなどのアイテム輸送システムも負荷源です。ホッパーは毎tick周囲のアイテムをチェックし、大量に配置されたホッパーチェーンはTPS低下の主要因となります。特に問題なのは、プレイヤーが不在でも常時動作する自動化システムで、これらは24時間サーバーリソースを消費し続けます。
プラグイン・MODの競合と非効率
プラグインやMODは機能を拡張する便利なツールですが、不適切な実装や競合により深刻なパフォーマンス問題を引き起こします。特に古いバージョンのプラグイン、更新が止まっているプラグイン、複数のプラグインが同じ機能を重複して処理している場合に問題が発生します。
/timingsコマンド(Paperサーバー)やSparkプラグインを使用すると、各プラグインのCPU使用率を詳細に分析できます。1つのプラグインが全体の処理時間の20%以上を占めている場合、そのプラグインが最適化されていないか、設定が不適切である可能性が高いです。また、ワールドエディット系プラグインで大規模な編集を実行すると、一時的にTPSが急降下します。
サーバーソフトウェアの選択:Paper/Purpur等への移行
Vanilla/Bukkit/Spigot/Paperの違い
マインクラフトサーバーには複数のソフトウェア選択肢があり、それぞれパフォーマンス特性が異なります。Vanilla(公式サーバー)は最も安定していますが、最適化機能が限定的でプラグインも使用できません。Bukkitは歴史的なプラグインプラットフォームですが、現在はほとんど使用されていません。
Spigotはバニラサーバーに最適化とプラグイン機能を追加したもので、長年の標準として使用されてきました。しかし、2025年現在ではPaperがSpigotをベースにさらに大幅な最適化を施したものとして主流となっています。Paperは非同期チャンクロード、エンティティアクティベーション範囲の調整、ライト計算の最適化など、多数の改善が組み込まれています。
Paperサーバーの導入とメリット
Paperサーバーは、Spigotの完全互換性を保ちながら、パフォーマンスを30〜50%向上させる最適化が施されています。導入は非常に簡単で、公式サイト(https://papermc.io/)から対応するマインクラフトバージョンのjarファイルをダウンロードし、既存のserver.jarと置き換えるだけです。既存のワールドデータやプラグインはそのまま使用できます。
Paperの主なメリットは、チャンクの非同期読み込みによるロード時間の短縮、エンティティのティック処理最適化、ホッパーの処理効率化、ライト計算の改善などです。また、paper.ymlという独自の設定ファイルにより、細かいパフォーマンス調整が可能です。特にmax-auto-save-chunks-per-tickやoptimize-explosionsなどの設定は、大幅なTPS改善をもたらします。
Purpur/Pufferfish等の代替選択肢
Paperをさらに発展させたサーバーソフトウェアも存在します。Purpurは、Paperにゲームプレイ調整機能とさらなる最適化を加えたもので、村人のAI処理最適化、モブスポーン制御の細かい設定、ゲームメカニクスの調整機能などを提供します。
Pufferfishは、Paperにデータ構造の最適化を加えた高パフォーマンス版で、特にエンティティ処理とチャンク処理に優れています。2025年現在、大規模サーバー(同時接続100人以上)では、Pufferfish→Purpur→Paperの順で検討することが推奨されます。ただし、これらは実験的な最適化を含むため、小規模サーバーではPaperが最も安定した選択肢です。
server.properties設定の最適化
view-distanceの適切な設定値
view-distanceは、各プレイヤーの周囲で読み込まれるチャンクの半径を設定します。デフォルト値は10ですが、これは多くのサーバーにとって過大です。適切な値はサーバースペックとプレイヤー数によって異なりますが、一般的には以下の目安が有効です。
- 1〜5人:view-distance=8
- 6〜15人:view-distance=6
- 16〜30人:view-distance=5
- 31人以上:view-distance=4
この設定を6に下げるだけで、ロードされるチャンク数は約44%減少し、サーバー負荷が大幅に軽減されます。ただし、プレイヤーの視認距離も短くなるため、バランスが重要です。多くのサーバーでは、6が最適なバランスポイントとされています。
simulation-distanceの調整
simulation-distanceは、マインクラフト1.18以降で追加された設定で、実際にゲームロジック(モブのAI、作物の成長、レッドストーン回路など)が実行されるチャンクの範囲を制御します。これはview-distanceと独立して設定でき、view-distanceより小さい値に設定することで、見えるが処理されないチャンクを作ることができます。
推奨設定はsimulation-distance=4です。これにより、プレイヤーの視界は維持しつつ、遠方のチャンクでの不要な処理を削減できます。特にモブファームや自動化装置が多いサーバーでは、この設定が30%以上のTPS改善をもたらすことがあります。
entity-broadcast-range-percentageの設定
entity-broadcast-range-percentageは、エンティティ情報がクライアントに送信される範囲を調整します。デフォルトは100%ですが、70〜80%に下げることで、ネットワーク帯域とサーバー負荷を削減できます。この設定を下げても、プレイヤーの実際のゲームプレイにはほとんど影響しません。
特に大規模なモブファームやエンティティが多い環境では、この設定が効果的です。ただし、PvPサーバーでは敵の視認距離に影響するため、50%以下には下げないことが推奨されます。サバイバルサーバーであれば、70%が最適なバランスです。
bukkit.yml/spigot.yml/paper.ymlの詳細設定
チャンク関連の設定最適化
bukkit.ymlでは、chunk-gc.period-in-ticks(チャンクのガベージコレクション周期)を調整できます。デフォルトは600tick(30秒)ですが、400に短縮することで、不要なチャンクをより頻繁にアンロードし、メモリとTPS負荷を削減できます。
spigot.ymlでは、merge-radius設定が重要です。item: 4.0とexp: 6.0に設定すると、近接したドロップアイテムと経験値オーブが自動的に統合され、エンティティ数が削減されます。これだけでTPS改善の実感が得られることが多いです。
paper.ymlのmax-auto-save-chunks-per-tickは、自動セーブ時に1tickあたり何チャンクを保存するかを制御します。デフォルトの24から8に下げることで、セーブ時のTPS低下を防げます。ただし、セーブ完了までの時間は長くなります。
エンティティ処理の最適化設定
spigot.ymlのentity-activation-rangeは、プレイヤーから一定距離以上離れたエンティティの処理頻度を下げる設定です。以下の設定が推奨されます。
entity-activation-range:
animals: 16
monsters: 24
raiders: 48
misc: 8
water: 8
villagers: 16
flying-monsters: 48
これにより、遠方のモブは処理頻度が下がり(例えば毎tickではなく4tickに1回処理)、TPSへの負荷が大幅に削減されます。プレイヤーが近づけば通常通り処理されるため、ゲームプレイへの影響は最小限です。
paper.ymlのdespawn-rangesも重要で、モブが自動的に消える距離を設定します。soft: 28、hard: 96に設定すると、プレイヤーから28ブロック以上離れたモブは徐々に消え始め、96ブロック以上では即座に消えます。これによりモブの過剰蓄積を防げます。
ホッパーとレッドストーンの制御
paper.ymlのhopper.disable-move-eventをtrueに設定すると、ホッパーがアイテムを移動する際のイベント呼び出しを無効化し、処理速度が向上します。ただし、ホッパーの動作を監視するプラグインが正常に機能しなくなる可能性があります。
redstone-implementation設定では、レッドストーン処理のアルゴリズムを選択できます。ALTERNATE_CURRENTに設定すると、レッドストーン処理が大幅に最適化されます。2025年現在、この設定はPaper 1.19以降で標準となっており、複雑なレッドストーン回路でも安定した動作が期待できます。
optimize-explosionsをtrueにすると、TNTや爆発物の処理が最適化され、大規模な爆発でもTPS低下が軽減されます。TNTキャノンやTNTトラップを使用するサーバーでは必須の設定です。
エンティティ管理とクリーンアップ
エンティティ数の監視方法
エンティティ数の定期的な監視は、TPS維持の基本です。/forge entity list(Forge)、/paper entity list(Paper)、または/lagg check(ClearLaggプラグイン)コマンドで、現在読み込まれているエンティティ数とその種類を確認できます。健全なサーバーでは、プレイヤー1人あたり50〜100エンティティ以下を目安にします。
Sparkプラグイン(https://spark.lucko.me/)を導入すると、Web UIでエンティティ分布をヒートマップで視覚化でき、問題のあるチャンクを簡単に特定できます。特定のチャンクに500以上のエンティティが集中している場合、そのエリアが主要なボトルネックとなっている可能性が高いです。
ClearLaggプラグインの効果的な使用
ClearLaggは、定期的にドロップアイテムやモブを削除してサーバー負荷を軽減するプラグインです。設定ファイル(config.yml)で、削除間隔(推奨:5〜10分)、削除前の警告時間(推奨:60秒前、30秒前、10秒前)、除外アイテム(プレイヤーが持っているアイテム、名前が付いたアイテムなど)を指定できます。
効果的な設定例として、remove.entitiesセクションで以下を有効化します。
- DROPPED_ITEM
- ARROW
- EXPERIENCE_ORB
- PRIMED_TNT (inactive)
これにより、ドロップアイテム、矢、経験値オーブが定期削除され、TNTは削除されません(建築用に使用されることがあるため)。item-age-limitを300秒(5分)に設定すると、5分以上地面に放置されたアイテムのみが削除対象となります。
モブキャップとスポーン制限
spigot.ymlのmob-spawn-rangeを調整することで、モブがスポーンする範囲を制限できます。デフォルトの8チャンク(128ブロック)から6チャンク(96ブロック)に下げると、同時にスポーン処理が必要なエリアが減少し、TPS負荷が軽減されます。
bukkit.ymlのspawn-limitsでは、各種モブの同時スポーン上限を設定できます。デフォルト値は比較的高く設定されているため、以下の値に下げることを推奨します。
spawn-limits:
monsters: 50 (デフォルト70)
animals: 8 (デフォルト10)
water-animals: 3 (デフォルト5)
water-ambient: 15 (デフォルト20)
ambient: 10 (デフォルト15)
これにより、過剰なモブスポーンを防ぎつつ、ゲームプレイに必要なモブは維持されます。
プラグインとMODの最適化
パフォーマンスプロファイリングの実施
Sparkプラグイン(https://spark.lucko.me/)は、サーバーパフォーマンスの詳細なプロファイリングを提供する必須ツールです。`/spark profiler startコマンドで計測を開始し、5〜10分後に/spark profiler stop`で終了すると、Web上で詳細な分析レポートが生成されます。
このレポートでは、各プラグインやゲーム内処理がCPU時間の何%を使用しているかが視覚化されます。1つのプラグインが10%以上を占めている場合、そのプラグインの設定見直しや代替プラグインへの切り替えを検討すべきです。特に注意すべきは、常時動作するプラグイン(権限管理、チャット管理、保護系プラグインなど)です。
重いプラグインの特定と代替案
よくある重いプラグインとその代替案を以下に示します。
- WorldEdit/WorldGuard: 大規模編集時にTPS低下を招きます。
//limitコマンドで1回の編集ブロック数を制限(推奨:50000以下)するか、FastAsyncWorldEdit(FAWE)への移行を検討してください。FAWEは非同期処理により、編集中のTPS低下を大幅に軽減します。 - Essentials: 多機能ですが重い部分もあります。使用しない機能はconfig.ymlで無効化してください。特に
auto-afk、repair、eco(経済機能)などは負荷が高いため、不要なら無効化します。 - Dynmap: リアルタイムマップ生成は非常に重いです。
renderintervalを60秒以上に設定し、fullrenderintervalを使用してフルレンダーを深夜のみに制限してください。あるいは、Pl3xMapやBluemapなどの軽量な代替プラグインへの移行を検討してください。
プラグイン設定の見直しポイント
すべてのプラグインの設定ファイルを確認し、以下の項目をチェックしてください。
- 更新間隔(update-interval): 高頻度の更新は負荷が高いため、可能な限り長い間隔に設定します(例:1tick → 20tick)。
- データベース保存頻度(save-interval): 過度に頻繁な保存はディスクI/Oを圧迫します。5分以上の間隔を推奨します。
- 範囲計算(range-calculation): 保護範囲や影響範囲の計算が頻繁に行われていないか確認します。キャッシュ機能がある場合は有効化してください。
- デバッグモード(debug): 本番環境ではすべてのプラグインのデバッグモードを無効化してください。デバッグログの出力は予想以上に負荷が高いです。
ワールド最適化とチャンク管理
未使用チャンクの削除(プリジェネレーション後)
長期間運営されたサーバーでは、プレイヤーが一度訪れただけで使用されていないチャンクが大量に存在します。これらのチャンクはワールドファイルサイズを肥大化させ、バックアップやロード時間に影響します。
プリジェネレーションは、プレイヤーが新しい地域を探索する際のチャンク生成ラグを防ぐ効果もあります。推奨される境界サイズは、スポーン地点から半径5,000〜10,000ブロック(312〜625チャンク)です。Chunkyでのプリジェネレーション実行例:
/chunky world world
/chunky radius 5000
/chunky start
Trimコマンドによるワールド縮小
Paper/Spigotサーバーでは、/minecraft:worldborderコマンドと組み合わせてワールドトリムを実行できます。まず、WorldBorderプラグインで境界を設定し、その後サーバーを停止して、マップ編集ツールでトリム処理を実行します。
より簡単な方法として、Chunkyプラグインの/chunky trimコマンドを使用できます。これは、指定した範囲外のチャンクを自動的に削除します。大規模なワールドでは、この処理により数GB〜数十GBのディスク容量を節約でき、バックアップ時間も大幅に短縮されます。
定期的なワールドセーブ最適化
server.propertiesのsave-allコマンドは、すべてのチャンクを強制的にディスクに書き込みますが、これは一時的にTPSを低下させます。自動セーブの頻度を調整することで、TPS低下を軽減できます。
bukkit.ymlのticks-per.autosaveをデフォルトの6000(5分)から12000(10分)に延長すると、セーブによるTPS低下の頻度が半減します。ただし、クラッシュ時のデータロスリスクは若干増加するため、定期的な完全バックアップ(1日1回以上)との併用が必須です。
ハードウェアとサーバー環境の最適化
CPU性能とシングルスレッド性能の重要性
マインクラフトサーバーは、主にシングルスレッド処理に依存しています。多くの処理(特にメインゲームループ)は単一のCPUコアで実行されるため、コア数よりもシングルスレッド性能(クロック周波数とIPC)が重要です。
2025年現在、マインクラフトサーバーに推奨されるCPUスペックは以下の通りです。
- 小規模サーバー(1〜10人): 3.5GHz以上のシングルコア性能、2コア以上
- 中規模サーバー(11〜30人): 4.0GHz以上のシングルコア性能、4コア以上
- 大規模サーバー(31人以上): 4.5GHz以上のシングルコア性能、8コア以上
Intel Core i7/i9シリーズ、AMD Ryzen 7/9シリーズが適しています。特にゲーミング向けの高クロックモデル(例:Intel i9-13900K、AMD Ryzen 9 7950X3D)は、マインクラフトサーバーに最適です。
メモリ割り当ての最適化
Java仮想マシン(JVM)のメモリ割り当ては、サーバーパフォーマンスに直接影響します。適切なメモリ量は、プレイヤー数とプラグイン数によって異なります。
- バニラ、1〜5人: 2〜3GB
- 軽量プラグイン、6〜15人: 4〜6GB
- 中規模プラグイン、16〜30人: 8〜12GB
- 大規模、31人以上: 16GB以上
起動スクリプトでの推奨設定例(8GB割り当て):
java -Xms8G -Xmx8G -XX:+UseG1GC -XX:+ParallelRefProcEnabled -XX:MaxGCPauseMillis=200 -XX:+UnlockExperimentalVMOptions -XX:+DisableExplicitGC -XX:+AlwaysPreTouch -XX:G1NewSizePercent=30 -XX:G1MaxNewSizePercent=40 -XX:G1HeapRegionSize=8M -XX:G1ReservePercent=20 -XX:G1HeapWastePercent=5 -XX:G1MixedGCCountTarget=4 -XX:InitiatingHeapOccupancyPercent=15 -XX:G1MixedGCLiveThresholdPercent=90 -XX:G1RSetUpdatingPauseTimePercent=5 -XX:SurvivorRatio=32 -XX:+PerfDisableSharedMem -XX:MaxTenuringThreshold=1 -Dusing.aikars.flags=https://mcflags.emc.gs -Daikars.new.flags=true -jar paper.jar --nogui
これらのフラグ(Aikar’s Flags)は、ガベージコレクション(GC)を最適化し、GC実行時のTPS低下を最小限に抑えます。
ストレージの選択(SSD必須)
マインクラフトサーバーでは、チャンクの読み書きが頻繁に発生するため、ストレージ速度が重要です。HDD(ハードディスクドライブ)ではランダムアクセス速度が遅く、チャンクロード時のTPS低下が発生します。
必須要件:NVMe SSD または SATA SSD
- NVMe SSD: 読み込み3000MB/s以上、推奨(特に大規模サーバー)
- SATA SSD: 読み込み500MB/s以上、最低ライン
- HDD: 非推奨(小規模バニラサーバーでもラグの原因となる)
また、定期的なバックアップは別ドライブに保存し、サーバー稼働中のディスクI/O競合を避けてください。理想的には、ワールドデータ用SSDとバックアップ用HDDの2ドライブ構成が推奨されます。
TPS監視とトラブルシューティング
リアルタイムTPS監視ツールの導入
TPS監視は、問題の早期発見に不可欠です。以下のツールが推奨されます。
- Spark:
/spark tpsコマンドでリアルタイムTPS表示、/spark profilerで詳細プロファイリング - Timings: Paper標準の
/timingsコマンドで各処理の時間分析 - LagMonitor: 専用プラグインで、TPS低下時に自動アラートとログ記録
これらのツールをDiscord Webhookと連携させると、TPS低下時に管理者へ自動通知できます。例えば、LagMonitorプラグインでは、TPSが15以下に低下した場合に自動でプロファイリングを開始し、結果をDiscordに送信する設定が可能です。
Timingsレポートの読み方
Paperサーバーの/timings reportコマンドを実行すると、詳細な性能分析レポートがWebブラウザで表示されます。重要な確認ポイントは以下の通りです。
- Full Tick: 1tickの総処理時間。50ms(理想値)を超えているとTPS低下が発生しています
- Entity Tick: エンティティ処理時間。20%以上を占める場合、エンティティ数削減が必要
- Tile Entity: ホッパー、かまど、チェストなどのブロックエンティティ処理。10%以上なら最適化対象
- Plugin Timings: 各プラグインの処理時間。上位3つで全体の30%以上を占める場合、プラグイン最適化が必要
特に「Entity Tick > minecraft:villager」が上位にある場合、村人の過剰繁殖や取引所の負荷が問題です。村人数を制限するか、村人最適化プラグイン(VillagerOptimiserなど)の導入を検討してください。
ボトルネック特定から対策までの手順
TPS低下が発生した場合の体系的なトラブルシューティング手順:
- 現状確認:
/spark tpsでTPS値確認、/forge entity listでエンティティ数確認 - プロファイリング開始:
/spark profiler start→ 5分待機 →/spark profiler stop - レポート分析: 生成されたWeb UIでCPU使用率上位の処理を特定
- 対策実施:
- エンティティが原因 → ClearLaggで削除、スポーン制限強化
- プラグインが原因 → 設定見直し、代替プラグイン検討
- チャンクが原因 → view-distance削減、未使用チャンク削除
- レッドストーンが原因 → 問題の回路特定、最適化または撤去
- 効果測定: 対策後、再度プロファイリングして改善を確認
この手順を定期的(週1回程度)に実施することで、TPS低下を予防的に防げます。
マインクラフトサーバーホスティングの選び方
マインクラフトのTPS最適化を実施しても、サーバーの基盤となるホスティング環境が不十分では、快適なプレイ環境は実現できません。ここでは、マインクラフトサーバーに適したホスティングサービスを紹介します。
サーバー選びの重要なポイントは、シングルスレッド性能の高いCPU、NVMe SSD搭載、十分なメモリ割り当て、安定したネットワークです。また、マインクラフト専用の管理パネルや自動バックアップ機能があると、運営が大幅に楽になります。
自分に最適なサーバーを探すには、複数のサービスを比較検討することが重要です。サーバー診断・比較サイトでは、用途や予算に応じた最適なサーバーを見つけることができます。
ConoHa for GAME
ConoHa for GAMEは、マインクラフトに特化したゲーミングVPSサービスです。最大の特徴は、マインクラフト統合版とJava版の両方に対応した専用管理パネルで、サーバー構築が数クリックで完了します。
主な特徴
- テンプレートイメージ: Vanilla、Paper、Spigot、Forgeなど主要サーバーソフトウェアがプリインストール
- 自動バックアップ: 毎日自動バックアップで、ワールドデータの消失リスクを最小化
- 高性能CPU: Intel Xeon(3.3GHz以上)搭載で、シングルスレッド性能が高い
- NVMe SSD: 全プランでNVMe SSD標準搭載、チャンクロードが高速
- 料金: 2GBプラン1,065円/月〜、4GBプラン2,408円/月〜(2025年11月時点)
推奨プラン:4GBプラン(10〜20人規模のサーバーに最適)。MODサーバーの場合は8GBプラン以上を推奨します。初期費用無料で、時間課金(最低1時間〜)にも対応しているため、テストや短期イベントにも向いています。
Xserver VPS for Game
Xserver VPS for Gameは、エックスサーバーが提供するゲーム特化型VPSサービスです。高速CPUと大容量SSDを標準装備し、大規模サーバーの運営にも対応できます。
主な特徴
- マインクラフトマネージャー: Web UIからサーバー起動・停止、設定変更、プラグイン管理が可能
- 高速CPU: 第3世代AMD EPYC(3.0GHz以上)搭載、マルチコア性能も優秀
- 大容量SSD: 4GBプランで100GB、8GBプランで200GBのNVMe SSD
- 安定性: エックスサーバーの高品質インフラ、稼働率99.99%保証
- 料金: 4GBプラン2,200円/月〜、8GBプラン4,400円/月〜(12ヶ月契約時、2025年11月時点)
推奨プラン:8GBプラン(20〜40人規模、MODサーバーに最適)。長期契約割引が大きく、12ヶ月契約で月額料金が約30%安くなります。SSH接続も可能で、上級者の細かいカスタマイズにも対応できます。
さくらのVPS
さくらのVPSは、老舗のVPSサービスで、柔軟なカスタマイズ性と安定性が特徴です。マインクラフト専用機能は少ないですが、Linux経験者には最適な選択肢です。
主な特徴
- 完全root権限: OSから自由にカスタマイズ可能、Paper/Purpurなど最新ソフトウェアを自由に導入可能
- 豊富なプラン: 512MBから32GBまで、幅広いメモリプラン
- NVMe SSDオプション: 標準はSSDですが、NVMe SSDへのアップグレードも可能
- コストパフォーマンス: 4GBプラン2,200円/月〜と、性能対コストが優秀
- 料金: 4GBプラン2,200円/月〜、8GBプラン4,400円/月〜(2025年11月時点)
推奨プラン:4GBプラン(中規模サーバー、カスタマイズ重視の運営者向け)。OSはUbuntu 22.04 LTSまたはRocky Linux 9が推奨されます。マインクラフトサーバーの構築には、SSH接続とLinuxコマンドの基礎知識が必要です。
ConoHa VPS
ConoHa VPSは、汎用VPSサービスですが、マインクラフトテンプレートも用意されており、ゲーム用途にも対応できます。ConoHa for GAMEよりも安価で、小規模サーバーに適しています。
主な特徴
- 簡単セットアップ: マインクラフトテンプレートで初期構築が簡単
- 低価格: 2GBプラン968円/月〜と、業界最安値クラス
- 高速SSD: 全プランでSSD標準搭載、ストレージ速度は十分
- スケーラビリティ: プラン変更が簡単で、サーバー規模の拡大に柔軟対応
- 料金: 2GBプラン968円/月〜、4GBプラン1,848円/月〜(2025年11月時点)
推奨プラン:2GBプラン(5人以下の小規模サーバー、友人内サーバー向け)。初めてのマインクラフトサーバー運営で、コストを抑えたい場合に最適です。
シンVPS
シンVPSは、エックスサーバーの新ブランドで、最新のハードウェアを採用した高性能VPSです。マインクラフトサーバーに必要な高速CPU性能を備えています。
主な特徴
- 最新CPU: 第4世代AMD EPYC(3.5GHz以上)搭載、2025年現在最速クラス
- NVMe SSD: 全プランで高速NVMe SSD標準搭載
- マインクラフトテンプレート: Paperサーバーのテンプレート提供
- コストパフォーマンス: 高性能ながら、4GBプラン2,200円/月〜と手頃
- 料金: 4GBプラン2,200円/月〜、8GBプラン4,400円/月〜(2025年11月時点)
推奨プラン:4GBプラン(10〜20人規模、最新ハードウェア重視の運営者向け)。特にCPU性能を重視する場合、シンVPSは2025年現在の最適解の一つです。
KAGOYA CLOUD VPS
KAGOYA CLOUD VPSは、企業向けVPSサービスですが、マインクラフトサーバーにも対応できる高い安定性を持っています。
主な特徴
- 高稼働率: データセンター品質で、稼働率99.95%以上
- 日額課金: 日額20円〜で利用可能、短期テストに最適
- スケール変更: リソース変更が柔軟、サーバー規模の拡大に対応
- 料金: 2GBプラン979円/月〜、4GBプラン2,200円/月〜(2025年11月時点)
推奨プラン:4GBプラン(安定性重視、長期運営向け)。特に大規模コミュニティや公開サーバーなど、ダウンタイムが許されない環境に適しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. TPSが15前後で停滞していますが、最優先で対策すべきことは何ですか?
まず、/spark profilerコマンドでプロファイリングを実施し、ボトルネックを特定してください。多くの場合、エンティティ過多またはプラグインの非効率が原因です。エンティティ数が1000を超えている場合は、ClearLaggプラグインで即座にクリーンアップし、spigot.ymlのentity-activation-rangeを上記の推奨値に設定してください。プラグインが原因の場合は、CPU使用率上位のプラグインの設定を見直し、不要な機能を無効化します。これらの対策だけで、多くのサーバーでTPS 18〜20への回復が期待できます。
Q2. view-distanceを下げるとプレイヤーから不満が出ませんか?
view-distanceを10から6に下げても、実際のゲームプレイへの影響は限定的です。プレイヤーの視認距離は約96ブロック(6チャンク)となりますが、多くの活動(建築、探索、戦闘)はこの範囲内で完結します。どうしても遠方視認が必要な場合は、simulation-distanceを4に設定しつつview-distanceは8に維持する方法もあります。また、Distant Horizons MOD(クライアント側)を推奨することで、サーバー負荷なしに遠景表示を実現できます。実際に変更後のプレイヤー満足度調査では、TPS改善による快適性向上が視認距離減少のデメリットを上回るという結果が多く報告されています。
Q3. マインクラフトサーバーに最適なJavaバージョンは何ですか?
2025年11月現在、マインクラフト1.20.x以降ではJava 21が推奨されます。Java 21はJava 17と比較して、ガベージコレクション性能が約15%向上し、TPS安定性が改善されています。Adoptium(旧AdoptOpenJDK)のEclipse Temurin 21が最も安定しています(https://adoptium.net/)。Java 8やJava 11は旧バージョンのマインクラフト(1.16以前)専用で、最新バージョンでは使用できません。Java 17も動作しますが、Java 21の方がパフォーマンスに優れています。インストール後、java -versionコマンドでバージョンを確認し、起動スクリプトのJavaパスが正しいことを確認してください。
Q4. PaperサーバーとVanillaサーバーでゲームプレイに違いはありますか?
Paperは基本的にVanillaと同じゲームプレイを提供しますが、いくつかの技術的な違いがあります。主な違いは、TNT爆発の同時処理数制限(TNTキャノンの挙動が若干変わる)、エンティティの処理優先順位最適化(レッドストーンタイミングが極めて僅かに変化する可能性)などです。しかし、これらは通常のプレイでは気づかないレベルで、99%のプレイヤーには影響しません。一方、TPS安定性の向上は全プレイヤーが実感できる大きなメリットです。技術的な互換性を重視する競技用サーバー以外では、Paperへの移行によるデメリットはほぼ存在しません。
Q5. ホッパーを多用する自動化装置がありますが、負荷を減らす方法はありますか?
ホッパーの負荷削減には複数の方法があります。第一に、paper.ymlのhopper.disable-move-eventをtrueにすることで、ホッパーのイベント処理を最適化できます。第二に、ホッパーチェーンを短くし、不要なホッパーを削除します。アイテムソーター等では、ホッパーの代わりにドロッパー+レッドストーン回路を使用することで、常時処理が不要になり負荷が大幅に削減されます。第三に、paper.ymlのhopper.push-basedをtrueにすると、ホッパーが「引く」動作ではなく「押す」動作に最適化され、処理効率が向上します。これらの対策により、ホッパー関連の負荷を50〜70%削減できます。
まとめ
マインクラフトのTPS最適化は、快適なマルチプレイ環境を実現する上で不可欠です。本記事で紹介した対策は、サーバーソフトウェアの選択(Paper/Purpurへの移行)、設定ファイルの最適化(view-distance、simulation-distance、entity-activation-rangeなど)、エンティティ管理(ClearLaggの導入、スポーン制限)、プラグイン最適化(Sparkによるプロファイリング、重いプラグインの見直し)、ハードウェアの見直し(高クロックCPU、NVMe SSD)という5つの柱で構成されています。
これらの対策は単独でも効果がありますが、複合的に実施することで相乗効果が生まれます。特に、Paperサーバーへの移行と設定ファイル最適化は、初期投資なしで実施でき、多くのサーバーでTPS 15→20への改善が報告されています。定期的なTPS監視とプロファイリングを習慣化し、ボトルネックを早期に発見・対処することで、長期的に安定した快適なサーバー環境を維持できます。
今すぐ実行できる最初のステップは、Sparkプラグインの導入とプロファイリング実施です。現在のサーバー状態を正確に把握することが、効果的な最適化への第一歩です。
出典
- PaperMC公式サイト – Paperサーバーソフトウェアとドキュメント
- Spark Profiler公式サイト – パフォーマンスプロファイリングツール
- Purpur公式GitHub – Purpurサーバーソフトウェア
- Aikar’s Flags – JVM最適化フラグガイド
- Chunkyプラグイン公式GitHub – ワールドプリジェネレーションツール
- Minecraft Wiki – Server.properties – サーバー設定公式ドキュメント
- SpigotMC公式フォーラム – プラグインとサーバー最適化情報
- サーバー診断・比較サイト – マインクラフトサーバーホスティング比較

