マインクラフトのMODサーバー構築において、Quilt Loaderは注目すべき新しい選択肢として登場しました。本ガイドでは、Quiltサーバーの構築方法から最新のJava 21対応、QSL(Quilt Standard Libraries)の活用まで、2025年7月時点の最新情報を基に詳しく解説します。
1. Quilt Loaderとは
1.1 Quiltの概要
Quiltは、マインクラフトの新しいMODローダーとして開発されたオープンソースプロジェクトです。Fabricのフォークとしてスタートしましたが、現在は独自の機能拡張を行っています。主な特徴は以下の通りです:
- 高速な起動時間と軽量な動作
- Fabric MODとの互換性
- モジュラー設計による柔軟性
- 開発者向けの豊富なツール
- コミュニティ主導の開発
1.2 Fabricとの違い
QuiltはFabricをベースにしているため、多くのFabric MODがそのまま動作します。しかし、Quiltには以下のような独自の機能があります:
- QSL(Quilt Standard Libraries)による拡張API
- より詳細なMODメタデータ
- 改良されたMOD検証システム
- コミュニティによる透明性の高い開発プロセス
2. 必要な環境とシステム要件
2.1 Java 21の準備
Java 21のインストール方法:
- Oracle JDK 21またはOpenJDK 21をダウンロード
- インストーラーを実行してセットアップ
- 環境変数JAVA_HOMEを設定
- コマンドプロンプトで
java -version
を実行して確認
2.2 対応Minecraftバージョン
Minecraftバージョン | Quilt対応 | 推奨Javaバージョン |
---|---|---|
1.21.7 | 対応 | Java 21 |
1.21.6 | 対応 | Java 21 |
1.21.5 | 対応 | Java 21 |
1.20.6 | 対応 | Java 21 |
1.20.4 | 対応 | Java 17 |
3. Quilt Loaderの導入手順
3.1 Quilt Installerのダウンロード
公式サイト(https://quiltmc.org/)から最新のQuilt Installerをダウンロードします。
- Quilt公式サイトにアクセス
- 「Install」ページを選択
- 「Server」タブを選択
- 使用するMinecraftバージョンを指定
- インストーラーをダウンロード
3.2 サーバー用Quiltのインストール
ダウンロードしたインストーラーを使用してサーバー用Quiltを設定します:
java -jar quilt-installer-0.9.2.jar install server 1.21.7
このコマンドにより、以下のファイルが生成されます:
quilt-server-launch.jar
– サーバー起動用JARserver.jar
– Minecraftサーバー本体libraries/
– 依存ライブラリ
3.3 サーバー起動設定
Quiltサーバーを起動するためのバッチファイルを作成します:
@echo off java -Xmx4G -Xms4G -jar quilt-server-launch.jar nogui pause
4. QSL(Quilt Standard Libraries)の導入
4.1 QSLとは
QSL(Quilt Standard Libraries)は、Quilt MODの開発に必要な標準ライブラリです。Fabric APIに相当するものですが、Quilt独自の機能も含まれています。
4.2 QSLのインストール
- Modrinth(https://modrinth.com/)またはCurseForgeにアクセス
- 「Quilted Fabric API (QFAPI) / Quilt Standard Libraries (QSL)」を検索
- 使用するMinecraftバージョンに対応したQSLをダウンロード
- サーバーディレクトリの
mods
フォルダに配置
4.3 QSLの更新管理
QSLは定期的に更新されるため、以下の方法で最新版を確認できます:
- Modrinthの更新通知機能を利用
- QuiltMCの公式Discord参加
- GitHub(https://github.com/QuiltMC/quilted-fabric-api)の監視
5. Quilted Fabric MODの対応
5.1 Fabric MODの互換性
Quiltの大きな利点の一つは、多くのFabric MODがそのまま動作することです。ただし、以下の点に注意が必要です:
- Fabric APIを必要とするMODは、代わりにQSLを使用
- 一部のMODは互換性に問題がある場合がある
- Quilt専用の機能を使用したMODは、Fabricでは動作しない
5.2 推奨MODの導入
Quiltサーバーで特におすすめのMODを紹介します:
MOD名 | 機能 | 対応バージョン |
---|---|---|
Lithium | サーバー最適化 | 1.21.7 |
Phosphor | 照明処理最適化 | 1.21.7 |
Carpet | 技術的機能追加 | 1.21.7 |
Chunky | チャンク事前生成 | 1.21.7 |
5.3 MODの競合対策
複数のMODを導入する際は、以下の点に注意してください:
- 同じ機能を持つMODの重複を避ける
- MODのバージョン互換性を確認
- テストサーバーで動作確認を行う
- ログファイルでエラーをチェック
6. サーバー最適化設定
6.1 JVM起動オプション
Java 21環境でのおすすめJVM設定:
java -Xmx8G -Xms8G -XX:+UseG1GC -XX:+ParallelRefProcEnabled -XX:MaxGCPauseMillis=200 -XX:+UnlockExperimentalVMOptions -XX:+DisableExplicitGC -XX:+AlwaysPreTouch -XX:G1NewSizePercent=30 -XX:G1MaxNewSizePercent=40 -XX:G1HeapRegionSize=8M -XX:G1ReservePercent=20 -XX:G1HeapWastePercent=5 -XX:G1MixedGCCountTarget=4 -XX:InitiatingHeapOccupancyPercent=15 -XX:G1MixedGCLiveThresholdPercent=90 -XX:G1RSetUpdatingPauseTimePercent=5 -XX:SurvivorRatio=32 -XX:+PerfDisableSharedMem -XX:MaxTenuringThreshold=1 -jar quilt-server-launch.jar nogui
6.2 server.propertiesの設定
Quiltサーバーに最適化されたserver.propertiesの設定例:
view-distance=10 simulation-distance=10 network-compression-threshold=256 max-tick-time=60000 use-native-transport=true
7. トラブルシューティング
7.1 よくある問題と解決方法
7.1.1 Java 21関連の問題
解決方法: Java 21が正しくインストールされているか確認し、環境変数を再設定してください。
7.1.2 MOD読み込みエラー
解決方法: QSLが正しく導入されているか確認し、MODのバージョン互換性をチェックしてください。
7.2 ログファイルの確認方法
問題発生時は以下のログファイルを確認してください:
logs/latest.log
– 最新のサーバーログlogs/debug.log
– デバッグ情報crash-reports/
– クラッシュレポート
8. パフォーマンス監視と最適化
8.1 サーバーパフォーマンスの測定
Quiltサーバーのパフォーマンスを監視するための方法:
- Spark MOD による詳細なプロファイリング
- JFR(Java Flight Recorder)の活用
- TPSモニタリングツールの使用
8.2 最適化のポイント
Quiltサーバーの最適化で特に重要なポイント:
- 適切なメモリ割り当て(推奨:8GB以上)
- 最新のJava 21 LTSバージョンの使用
- 高性能なSSDの使用
- ネットワーク設定の最適化
9. セキュリティ対策
9.1 基本的なセキュリティ設定
Quiltサーバーのセキュリティを強化するための設定:
- 適切なファイアウォール設定
- 定期的なバックアップの実施
- MODの出元確認
- 管理者権限の適切な管理
9.2 MODのセキュリティ
MODを導入する際のセキュリティチェックポイント:
- 公式リポジトリからのダウンロード
- デジタル署名の確認
- コミュニティでの評価確認
- 定期的な更新チェック
10. 最新動向と今後の展望
10.1 Quiltの最新動向
2025年7月現在のQuiltプロジェクトの状況:
- 安定したビルドの定期リリース
- コミュニティの活発な開発
- 新機能の継続的な追加
- Minecraft最新版への迅速な対応
10.2 今後の展望
Quiltの将来的な発展予測:
- より高度な最適化機能の追加
- 開発者向けツールの充実
- 企業レベルでの採用増加
- エコシステムの更なる拡大
本記事は2025年7月時点の情報に基づいて執筆されています。Quiltプロジェクトは活発に開発が続けられているため、最新の情報については公式サイト(https://quiltmc.org/)を確認してください。また、MODの導入や設定変更は自己責任で行ってください。